病院・クリニック・歯科医院のためのSNS基礎知識

最近では、病院やクリニック、歯科医院などの医療機関においても、SNSを活用するケースが増えてきました。医療の現場情報などは伝わりにくいことが多く、SNSを活用して情報提供することで、利用者の理解が得られ、新規患者の獲得にもつながるでしょう。本記事では、医療機関がSNSを活用するメリット・デメリットについて解説し、その種類と特徴について紹介します。

医療機関のSNSは集患に活用できる

医療機関のSNSは集患に活用できる?

総務省による2022年の「情報通信白書」によると、日本のスマートフォン保有世帯率は97.3%となり、個人のスマートフォン保有率も74.3%と報告されています。国民のほとんどがスマートフォンを保有し、電話やSNSなどを使ったコミュニケーションや、インターネットを通じた情報収集に活用しています。
(参照元:
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/pdf/n3800000.pdf

インターネットの個人利用率も9割を超えており、Googleマップを使って近隣の病院・クリニック・歯科医院を探したり、口コミサイトなどで評判を事前に下調べしたりするのが当たり前になっています。

こうした傾向は特に若年層において顕著であり、自分に適した病院・クリニック・歯科医院を探すツールとして、SNSの利用機会も増えています。つまり、ホームページ・公式サイトだけでなく、SNSも活用して宣伝や情報発信を行い、集患することへのニーズが生まれているのです。

SNS活用のメリット

医療機関において住所・連絡先・診療日などを確認できるホームページはもはや必須といえますが、それに加えてSNSを活用するメリットとしてはどんなものがあるのでしょうか。続いては、医療機関におけるSNS活用のメリットについて解説していきます。

無料で開始可能

SNSを活用する第一のメリットは、資金・時間・労力面において低コストで開始できることです。ホームページを開設してコンテンツを充実させるには数ヶ月の期間を要する場合がありますし、見栄えのよいコンテンツにするためには、高いスキルをもった担当者による相応の工数が必要です。さらに、テレビCMや雑誌などのオフライン広告を出稿しようとすれば、なおさら重い負担がのしかかるでしょう。SNSアカウントであれば、無料でも開設可能で、即座に運用を開始できます。

患者とのコミュニケーションツールとして活用可能

SNSの特徴として、発信が容易で即応性の高いコミュニケーションツールであることが挙げられます。たとえば予防接種のお知らせや診療時間の変更などの案内を患者さん全体にしたいとき、従来のコミュニケーションツールである電話やFAXではタイミングが遅くなったり、誤送信したりしてしまう可能性があります。SNSであれば、事前に登録した方に対して一斉に情報を流すため、送るべき相手に情報が流せますし、仮に内容に間違いがあっても訂正も容易です。また、参加する患者さんやそのご家族の情報を管理しておけば、医療に必要な情報の収集や状況の把握がしやすくなります。

また、SNSでは治療などの重要な情報だけでなく、自院の近況などを気軽に発信しやすいという利点があります。たとえば、「クリニックの花壇に植えた花が咲いた」などのささやかな出来事でも、SNSは画像と共に発信することで、患者さんに親近感を感じてもらいやすくなり、広告宣伝効果にもつながります。

ブランディングに活用可能

SNSはブランディングにも活用可能です。ブランディングとは、よいブランドイメージを確立し、多くの競合組織の中から自身が選ばれるための取り組みを意味します。

近年は医療分野が細分化し、専門性に特化した病院・クリニックが多くなってきた一方で、利用者がどの病院・クリニックへ行くべきなのかが分かりにくくなっている場合もあります。こういった潜在患者を呼びこむためには、自院の専門性や強みをブランディングすることが重要です。

このようなケースでSNSの活用が効果的なのは、コミュニティ内のユーザーに対して広く情報を届けることが可能だからです。SNSに流された情報は、ユーザーが能動的に検索をかけなくても目に留まります。テレビCMで見たことのある商品には親しみが湧きやすいように、SNSで情報を定期的に発信することを通して、ユーザーに親近感やよい印象を与え、ブランディングにつなげましょう。

SNS活用のデメリット

医療機関のマーケティングにSNSを活用することには数多くのメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。以下では、医療機関がSNSを活用する上でのデメリットを解説します。

運用に知識や時間が必要

SNSはホームページなどの運用に比べれば簡単にできますが、それでも効果的かつ継続的に運用していくにはそれなりの手間やノウハウが必要です。経営者や職員が通常業務の合間にSNSの更新を行うわけなので、その分の負担がかかることになります。また、SNSの運用に担当者が不慣れな場合、意図せず不適切な内容を発信してしまう可能性や、情報が大勢の人の目に触れるということに対して、精神的なプレッシャーを感じてしまうこともあるかもしれません。

SNSをうまく活用できている企業や医療機関は、情報発信の頻度や内容にも気を配って発信しています。もしも院内での運用が難しい場合は、SNS運用を手がけている業者に依頼し、継続可能な基盤を整えることも大切です。

炎上するリスクがある

拡散力に優れたSNSは、よいイメージの確立にも役立ちますが、うかつな使い方をすれば悪いイメージを広げてしまうおそれもあります。不適切な投稿などをきっかけに、不特定多数の人から一斉に大きな批判を受ける現象が、いわゆる「炎上」です。

SNSによるコミュニケーションでは、画面の向こうで相手がどんな表情をしているのか分かりません。それゆえ発信者は、自分の投稿で相手がどんな気持ちになるのか、対面でのコミュニケーション以上にしっかり配慮した上で投稿する必要があります。

炎上を避けて適切にSNSを運用するため、SNS運用担当者には基本的な一般常識と、高いインターネットリテラシーが求められるのです。

効果が出るまで時間がかかる

新規患者の集患を主目的にSNSを利用する場合、その効果が出るまでには一定の時間がかかることに留意する必要があります。開始時にはフォロワーはゼロからスタートするため、最初から高い効果を期待しないようにしましょう。フォロワーを増やし、情報の拡散効果を得るためには、来院した患者さんに直接フォローをお願いするのはもちろん、魅力的なコンテンツや共感してもらいやすいコンテンツを発信し続けることが大切です。SNSは中長期的な観点に立って根気強く発信し続けることによって初めて効果が生まれるものだと考えましょう。

医療機関で活用できるSNSとその特徴

ここからは、医療機関が活用できる具体的なSNSの種類やその特徴についてみていきます。SNSのユーザー層と、自院やそこに訪れる患者層の特性が適合しているかよく考えた上で、どのSNSを利用するか決めてください。

LINE

LINEは日本国内で9,200万人(2022年3月時点)という飛び抜けたユーザー数を誇るSNSです。

LINEでは投稿の開封率が高いため、使い方次第で大きな効果が見込めるでしょう。LINEのフォロワー集めは来院者を中心としたチラシ配布や、正面玄関や院内などでのチラシ掲示などで行えます。あるいは、Twitterなどの拡散力の高いSNSと併用して、そこのプロフィール欄などに付記してもよいでしょう。LINEはユーザー数が多く、年齢層もほかのSNSより幅広いため、フォローを依頼する際に新しいアプリを導入してもらう手間をかけずに済む、というメリットもあります。

Instagram

「インスタ」や「インスタ映え」などの言葉で親しまれているInstagramは、日本国内で3,300万人(2019年6月時点)のユーザーを有するSNSです。Instagramユーザーは、特に若い女性層の比率が高いため、産婦人科や美容関係のクリニック、審美歯科などが運用するのに適したSNSといえるでしょう。

Instagramには、知らない相手でもどんどんフォローしていく文化があるので、高い拡散力が期待できます。このような特徴をもったInstagramを活用することで、自院の取り組みを広く情報開示したり、さまざまな業界へとネットワークを広げたりすることができるでしょう。

Twitter

Twitterは日本国内で4,500万人(2017年10月時点)もの人が利用しているSNSです。Twitterの特徴はなんといってもその拡散性の高さで、その効果は各国の政府機関の首脳すら活用しているほどです。Twitterは140字以内という文字制限がある分、気軽に内容を投稿することができるため、日常のささやかな出来事を伝えることにも向いています。ただし、不特定多数への拡散力の高さが炎上のリスクにもつながるため、注意が必要です。

Twitterにおけるフォロワー集めのコツは、同業や関連領域のインフルエンサーを中心に、リツイートやフォロー申請などの積極的な交流を図ることです。

Facebook

Facebookは、日本国内で2,600万人(2019年7月時点)以上ものユーザーが利用するSNSです。Facebookユーザーの年齢層はほかのSNSと比較して高く、40代~50代の中高年層に向けてのアプローチも期待できます。

Facebookの拡散ルートは面識のある人同士がベースになるので、患者さんや不特定多数への拡散力が強いとはいえません。とはいえFacebookはその分、友人のように身近な人からの情報を得て、不安や問題点を解消したいというニーズにはアプローチしやすいSNSだといえるでしょう。

Facebookを効果的に活用するには、テキストだけではなく写真なども添付して、イベントや院内活動の詳細を発信するのがおすすめです。研修医などの求人募集にFacebookを活用する場合もあります。

まとめ

SNSを通した情報発信は有益な情報を流すことによって集患が期待できる一方で、炎上のリスクもあるため、注意して運用しなければなりません。

リードプラスは少額からでも始められる広告運用サービスを提供しています。医療機関向けの広告運用にも豊富な実績があるので、SNSの立ち上げや運用に際し、広告も活用して増患を実現したい場合は、ぜひ利用を検討してみてください。

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