Google広告の表示に大切な広告ランク、品質スコアとは?

Google広告を表示されるために重要な要素として「広告ランク」と「品質スコア」があります。これらは複雑な仕組みのため理解しづらい面がありますが、リスティング広告を成功させるためには知っておくべきものです。今回は、この「広告ランク」と「品質スコア」について解説します。

Google広告における掲載(広告表示)の課題

Google広告における掲載(広告表示)の課題

リスティング広告はアカウントを作成してキャンペーンや広告グループ、その中にキーワードや広告文を設定することで配信が始まります。

あまり細かいことを考えずに始めるという意味では誰でもできるものと言えます。しかし、多くのGoogle広告初心者の方が直面する課題として「思っていたほど掲載がされない」「上の方に表示されない」などがあるでしょう。

具体的には、次のような問題が起こります。

  • 競合の広告はほぼ毎回掲載されている。一方で自社の広告は見かけないことが多い。
  • 競合の広告は毎回のように掲載の1~2位。しかし自社の広告はなかなか上位に表示されない。
  • 自社の広告が出ていないと思ったら、検索結果ページの上ではなく下の欄の掲載となっていた。そのため気がつかなかった。

こうした広告掲載の有無や掲載順位を決定する要素が広告ランクです。

広告ランクとは

広告ランクについて、詳しく見ていきましょう。役割は前章に掲載したように、「広告掲載の有無」「広告の掲載順位」を決定するために使われる値です。

広告ランクは、一般的には次の公式で表されます。

広告ランク = 入札単価×品質スコア(+その他)

たとえばあるキーワードに対して、広告を表示するために次のようなオークションがおこなわれるとします。

A社:「入札単価:300円」「品質スコア:2」「広告ランク:600」

B社:「入札単価:200円」「品質スコア:4」「広告ランク:800」

C社:「入札単価:150円」「品質スコア:5」「広告ランク:750」

実際の掲載順は、次のようになります。

1位:B社

2位:C社

3位:A社

仮に自然検索結果の上に広告が二つしか表示されない場合には、A社は入札単価が高かったのに下の欄の掲載となり、大きな機会損失となってしまいます。このように広告ランクは掲載において、非常に重要なものです。

先に示した計算式について、Google広告のガイドでは次のような複数の要素が関わっているとしています。

  • 入札単価
  • 品質スコア(オークション時の広告の品質)
  • 広告ランクの下限値
  • オークションにおける競争力
  • ユーザーが検索にいたった背景
  • 広告表示オプションを含めた、広告フォーマットの見込み効果

単純な解説では入札単価×品質スコアとされることもありますが、実際にはさまざまな決定要因があるわけです。

もっとも入札単価と品質スコアが、主な要因なのは変わりません。また多くの要素は、品質スコアと関係があります(品質スコアについては、次の章で詳しく解説していきます)。

広告ランクの下限値とは、広告の予約料金と定義されています。入札単価がこの下限値を下回ると、広告は表示されないとされています。またこの値はオークションごとに動的に決定されるので、流動的です。競争力はもちろん、検索にいたった背景まで見ているのは注目です。具体的にはデバイスや時間帯といった明確なものから、ページに表示される他の広告や自然検索結果まで含めて算出されているとのことです。広告表示オプションを使うことでクリック率が高まるというのは、Googleが明確にアナウンスしています。つまり広告ランクを高めるためには、広告表示オプションを使うのはほぼ必須、というわけです。

品質スコアとは

Googleが目指す広告の利便性は、ユーザーと広告主、それにGoogleの三者にメリットをもたらすものです。品質スコアはそれを表す方法の一つと定義されているので、非常に重要です。具体的には「広告」「キーワード」「ランディングページ」の品質を指します

品質スコアを決定するのは、次の三つの要素です。

  • 推定クリック率
    広告がどれだけクリックされるかの可能性。
  • 広告の関連性
    ユーザーの検索意図(キーワード)と広告のマッチング度合い。
  • ランディングページの利便性
    ユーザーが求めるものに対するページの関連性、情報の透明性、操作性。

推定クリック率はわかりやすい要素です。広告がユーザーの検索意図と合致すると、さらに高まります。広告をクリックした後のランディングページも重要な要素というのは強く意識しておきたいポイントです。ページにキーワードが含まれているかなどだけでなく、情報の透明性や操作性までGoogleに見られています。広告運用だけを考えるのではなく、ページ改善も併せておこなっていきたいものです。

品質スコアを確認する方法

品質スコアは、数値で確認することができます。

確認方法はGoogle広告の管理画面、キーワードから「検索キーワード」の画面を開きます。

表示項目に「品質スコア」がありますので、表示されていない場合はそれを選んで項目列を追加します。品質スコアは10段階の数値で出ます。

品質スコア

ただし10が良くてそれに近づけていくのが目的、という理解は正しくありません。理由は、次の通りです。

  • 実際の品質の評価は、オークションごとにおこなわれる。
  • 管理画面に反映されている品質スコアは、このリアルタイムの状況を反映したものではない。ある広告サンプルに対する平均値。
  • オークション時の判断基準は数多く存在するため、一つの数値で表すことは不可能。

このため管理画面に表示される品質スコアは、参考値として見るべきとなっています。言い換えると必要以上にこの数値にこだわることはない、というわけです。

それでは実際に品質スコアを改善するには、どう取り組んでいくのが良いのでしょうか。

原則で言えば、品質スコアを構成する三つの要素を改善することです。品質スコアを構成する各要素の状況を確認する指標も、Google広告の管理画面、同じく「検索キーワード」の画面からおこなえます。表示項目の「品質スコア」内に「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」の三つがありますので、これを追加します。

検索キーワード

キーワードごとに、「平均より上」「平均的」「平均より下」の三つが表示されます。「平均より下」となっているものに対しては、優先して改善をしていくようにします。

改善はキーワードや広告文の見直しといったもの以外に、広告グループを分けたり集約するといった、アカウント構造自体の変更が有効なことがあります。この場合は、運用実績が豊富な外部パートナーと一緒に改善していくと効率的です。

関連する指標

広告ランクが関わる他の指標として、「検索広告のインプレッションシェア損失率(ランク)」「検索広告のページ上部のインプレッションシェア損失率(ランク)」「検索広告のページ最上部インプレッションシェア損失率(ランク)」があります。

関連する指標として、これらについても少し紹介しておきましょう。

まずインプレッションシェアとは、広告が表示されると推定される回数に対して、実際に表示された割合です。検索全体と自然検索結果の上部、最上部対して、それぞれ算出されます。

この要因を探る際に使用するのが、損失率です。

損失率は「インプレッションシェア損失率(予算)」と「インプレッションシェア損失率(ランク)」があります。予算は予算不足により表示されなかった割合、そしてランクは広告ランクが低いことにより表示されなかった割合です。このそれぞれに対して、検索全体とページ上部、最上部に対する割合があります。

これらインプレッションシェア損失率は、Google広告の管理画面のキャンペーン画面で表示項目に追加することにより、確認ができます。

インプレッションシェア損失率

Yahoo!広告の場合

Yahoo!広告も、広告の掲載順位は同じ仕組みにより決定されます。

広告掲載がされるタイミングに合わせてオークションがおこなわれ、そのたびごとに算出されるものを、Yahoo!広告では「オークションランク」と呼んでいます。

このオークションランクを算出するのに使われるのが「入札価格」と「広告の品質」です。広告の品質を構成する要素は、「推定クリック率」「表示URLの過去のクリック率」「広告文と検索クエリーの関連性」などです。

注)Yahoo!の場合は、検索に使う語句を「検索クエリー」と表記します。

Google広告の品質スコアと同じものという捉え方でいいですが、内訳が少し違っていることに注意しましょう。Google広告の品質スコアはランディングページの利便性も大きな要素でしたが、Yahoo!の広告の品質については、これが含まれていません。代わりに過去にその表示URLがどれだけクリックされたか、という実績値が構成要素としてあげられています。

もっともその他の構成要素もあるとされていますので、Yahoo!広告についてもランディングページの利便性は意識しておくのがいいでしょう。また実際の広告運用でGoogle、Yahoo!それぞれの検索エンジンごとのランディングページを分けるという施策は、現在ほぼ取られません。ですから両方の広告に有効なランディングページとして改善していくといいでしょう。

Yahoo!広告とGoogle広告の掲載順位の算出方法自体は近しいですが、むしろ注意しておきたいのは実際に広告が掲載される数と場所です。Yahoo!の場合は自然検索結果の上に3つ、同じクエリに対してGoogleの場合は2つなど、表示に違いが出るケースが多々あります。近年は同じ広告であっても、クエリや表示タイミングにより数や掲載場所(自然検索結果の上か下か)が一定しないので明確に分けることは難しいのですが、どちらについても品質を高めて掲載順位をアップさせる、という取り組みが大切になります。

まとめ

広告掲載の有無、掲載順位について広告ランクと品質スコア(Yahoo!広告の場合にはオークションランクと広告の品質)は非常に重要です。この記事で紹介したように管理画面内でそれぞれの指標の数値確認し、参考にしながら改善をおこなっていくことが大切になります。

もし、広告の運用でお困りでしたら弊社ローカルフォリオにお問い合わせいただければ幸いです。

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