集患とは:患者の医院選びに対応した令和時代のWeb集患手法

〈令和・コロナ禍における集患とはいったい何か?〉〈 集患を実現する為には何を行う事が有効なのか?〉 医院/クリニック経営において、集患は欠かせない要素です。しかし、令和・コロナ禍において、患者の変化により集患方法も大きく変わりました。そのため、多くの医院/クリニック経営者が改めて集患方法を見直す必要が出てきています。本記事では、医療機関が把握しておくべきWeb集患などの各施策や、集患方法として有効な手法、今すぐ見直すべきポイントなどについて詳しく解説します。

集患(読み方:しゅうかん)とは

集患(読み方:しゅうかん)とは

集患とは、一般的に店舗に顧客を集める活動を「集客(しゅうきゃく)」と言いますが、医院/クリニックにおける顧客、つまり患者を集客する活動の事を「集患(しゅうかん)」と定義されます。集患は医療業界におけるマーケティング用語です。

「集患」に近しい関連用語として、「増患(ぞうかん)」という言葉もあります。集患と増患の意味の違いや関係としては、増患(患者を増やす)施策の中に、集患(患者を集める)手法が存在するという関係にあります。(※「増患施策」については別記事を参照:増患とは:3種類の増患施策のうち、何から始めるべきなのか

「集患」については、一般的に「集患施策」として「新患(新規患者)」を集める手法について語られるケースが多く、主に下記の3点に分類できます。
  • 認知向上施策:新規に独立開業する際や、開業した際など商圏エリア内において認知度を向上させる事を目的とする集患施策
  • 予約獲得施策:地域で競合する医院/クリニックよりも自分たちが選ばれるように、見込み患者への露出を増やし、誘導導線から新患を獲得する集患施策
  • 分散予約/平準化施策:医院/クリニックの利益率を向上させるための予約状況・時間帯別予約率の改善などを促し、予約/稼働率を平準化する手法(予約システムや電子カルテの活用)による集患施策
上記の通り分類できる施策の中でも、令和に入り多くの医院/クリニックに対応が急速に求められている集患施策は、インターネットを活用した「Web集患施策」と言えます。

変化した令和時代の医院/クリニックの探し方と3つの集患ポイント

コロナ禍による物理的な要因と、長年Googleが進めてきた変革によって、令和時代の医院/クリニックの探し方は大きく変わりました。

患者の意識の変化としては、密を避け、外出を減らし、通院を控える傾向が明確になり、わざわざ遠くの大きな病院に行くよりも、外出時間も短く、人に会う機会が少ない、自宅近隣で待ち時間が短いかかりつけとなる医院/クリニックを探す需要が増えました。

またむやみに外出する事を控え、外出する場合も短時間で混雑は避けたい心理が働き、通院する際も予約時間より早く到着して待合室で待つ行為そのものが減り、患者は待合室の密閉空間に早く来ることなく、予約時間に来院するように変わるなど行動が大きく変わりました。

この患者の変化を考えると、予約行動を起点に大きな変化が起こっている事を念頭に、対策する必要性があることを認識しなければなりません。実は既に見込み患者が予約する先の医院/クリニックについて期待する事(事前チェック項目)や前提条件、それらの情報を求め医院/クリニックの探し方や調べ方、選定方法が劇的に変化しています。

この変化の要因は、以下の3つの進化の影響が大きいと言えます。

「検索サイト」の検索精度の進化
患者が体調不良を感じた際、症状から病院へ行くべきなのか、行くならかかるべき診療科はどこなのか?など、病院で診察してもらう前に症状から検索するのが当たり前になりました。
またこの検索に対して検索サイト側も入力された検索意図を理解するようになった事で、求めている情報を1回の検索で的確に導き出すようになり、新機能によって検索ワードによっては検索結果のページを見るだけでも探している情報が出てくることも多くなってきました。

このように検索サイトの精度が向上した事で、調べる事が容易になった結果、自分の症状が何で、どこの診療科に予約を取るべきなのか?や、考えられる疑わしい病名なども分かり、詳しい解説情報を探し出せるようになりました。

地図アプリの進化

平成時代は、電車の乗換は乗換検索サービスで調べ、目的地の最寄駅からのルートについては、地図検索サービスに住所を入れ、訪問先へのルートや、周辺の駐車場を探すなど、事前に調べる事や、地図情報を印刷して準備するといった事は一般的でしたが、令和の現在、地図サービスの世界は大きく進化しました。

今では利用者が一番多いと言われるGoogleMapなどの地図アプリを中心に、診療科目を入力すると、そのマップ上で近場の該当する医院/クリニックのピックアップが表示され、見込み患者が気になった医院/クリニックの情報(営業時間や休診曜日、電話予約やホームページへの誘導リンク、クチコミ情報や評価点の確認、見つけた医院/クリニックまでの移動距離や時間の算出、自分がいる場所からスマートフォンのGPSに連動したルートナビなど)を、簡単に分かるようになりました。

この進化により、たとえ土地勘がない場所でも、スマートフォン片手に、どの方向にどれくらい歩けば目的地なのか、今いる位置を起点に把握する事ができるようになり、看板広告の価値が再編成されて来ています。

SNS利用者の増加

検索サイトだけではなく、いわゆるSNSといわれるfacebookやInstagram、LINE、GBPなどのソーシャルネットワークサービス上で、医院/クリニックを探したり、特定の気になるクチコミ情報を詳しく調べたり、SNSサービスを介して、クチコミを確認の上、予約したり、例えばLINEと連携する事で予約が可能な医院/クリニックが誕生するなど、SNSの利用顧客が多くの年齢層に広がっている事で、各SNSと連携して予約や順番待ちなどがスムーズに行える仕組みを導入している医院/クリニックも増加傾向にあります。

以上のように、テクノロジーの進化と、コロナ禍による需要の相乗効果により、今までになかった速さで見込み患者の医院選びは変化しております。居る場所も自宅中心へ変わり、駅や電柱などの看板広告を見て医院を選ぶ事は大きく減り、見込み患者が目にする広告もリアル看板からスマートフォンの中へ大きく変わったと言えます。

医院/クリニックのWeb集患に有用な手法

前述の通り、スマートフォンを中心に、スマートフォン上の「検索アプリ」「Mapアプリ」「SNSアプリ」を介して情報を集め、自分が通える範囲で、かかるべき診療科のある医院/クリニックを選択・予約する時代になりました。

検索需要を満たす、これらの3つのアプリが予約のスタート地点となり、探している情報の種類によって集患に有効な広告手法を導入する医院/クリニックが増加しています。これは普段の生活で常日頃から患者が利用している為、令和に入り医療関係にも広く同様に広まった結果と言えます。

例えば具体的な検索例を挙げると、

  1. Q:自分の症状に合致する医学的権威・知見のある人の病名解説・説明を知りたい
  2. Q:医院/クリニックの公式ホームページにて医院内の雰囲気や写真を見たい
  3. Q:医院/クリニックのクチコミ情報や、同じ症状経験者による治療法に対するクチコミ情報を確認したい

というようなそれぞれの需要が考えられます。これらに対して有効なWeb集患手法は、

  1. A:信ぴょう性の高く信頼できる情報を「検索サイト」を使い調べる。【リスティング広告が有効】
  2. A:通える範囲にある医院/クリニックのホームページを「検索サイトの結果ページ」や「Mapアプリ」「SNSの検索結果」からピックアップし比較検討するタイミングで【リスティング広告やGoogleビジネスプロフィール(略称:GBP(読み方:ジービーピー))の運用が有効】
  3. A:経験談や評価といったクチコミ情報は「GBP」や「SNS」を用いて確認する【facebook広告やInstagram広告、GBPの運用が有効】

というように、それぞれの需要に対する有効なWeb集患手法も変わってきます。

この患者の変化の波に率先して対応できている医院/クリニックはこれらのインターネットからの集患に成功しており、変化に気が付いていない医院/クリニックは、逆に何もしていない事で取り組んでいる競合医院の引き立て役となり、当然、新患の信用は集まりにくい為、気が付いた時には競合との間で大きく差が開き、昭和・平成からの既存顧客しかほとんど来院しないという2極化が進んで来ています。

新規集患に成功している医院/クリニックが実践しているWeb集患手法「リスティング広告」とは

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!といった検索サイトの検索結果ページの上部に表示されるテキストリンクの広告です。検索結果の上位に表示させるSEO対策といわれる自然検索のリンク表示よりも上部に表示されます。検索利用者の検索目的が明確なキーワードであればあるほど、広告リンクであっても検索目的が果たせそうと感じる場合に、ユーザーが能動的に広告リンクをクリックして、広告主のホームページへ誘導させる事が可能な広告です。

新患の集患に成功している多くの医院/クリニックでは、見込み患者の検索が、集患の入り口となる事に気が付き少額でも継続して広告出稿をしています。

多くの歯科医院、心療内科、眼科、産婦人科、皮膚科など、様々な診療科の医院/クリニックで活用されており、自分たちの指定する商圏エリア内において、時間帯や曜日を指定するなど適切に設定した上で、獲得したい見込み患者の傾向に合わせた検索キーワードを指定する事で、集患したい見込み患者だけに対して広告を表示させる事が出来、少額予算でも新患の集患に成功しています。

また、リスティング広告を正しく運用する事で、広告費用や出稿期間など長ければ長いほど、見込み患者の傾向データを蓄積できます。データが集まるほどに広告効果/新患獲得効率も高まり、予約率の向上が実現できます。

ただし、リスティング広告を正しく運用するためにはノウハウが必要なため、運用経験の多い広告運用代行サービス企業に相談することをオススメします。

新規集患に成功している医院/クリニックが実践しているWeb集患手法「GBP(Googleビジネスプロフィール)」とは

具体的に新規集患に成功している医院/クリニックは、ホームページを作るだけではなく、患者を予約へ誘導する導線をデザインし、積極的に情報発信を行う事で、商圏内の検索需要に対して一番に自分たちの医院/クリニックを表示訴求できている傾向が高いと言えます。

ではどのように集患導線をデザインすれば良いのでしょうか? その答えの1つは「Googleビジネスプロフィール」の無料オーナー登録と言えるでしょう。

Googleビジネスプロフィール(略称:GBP(読み方:ジービーピー))とは、GoogleMAPの地図アプリや、Google検索の検索結果画面に出てくるMap情報上に、赤いピンで場所を指し示しながら、その場所にある店舗情報や企業情報などを案内・掲載できるGoogleの無料サービスです。

オーナー発信として自由に情報を無料で掲載できるだけではなく、一般利用者がその店舗情報に紐づく「クチコミ情報」や「5段階の評価」を投稿する事も自由にできます。
また、利用者はホームページにアクセスしたり、そのまま登録されている番号に電話をかけたり、今いる位置から目的地となる住所まで、スマートフォンのGPSに連動して道案内(ルートナビ)をできるなど、利便性が高いサービスです。

オーナーが管理していなくても、自動的にGoogleによって収集された情報が掲載され、閉店した場合の情報も適切にアップデートされ日々更新されています。

病院/クリニックにおいては、その性質上、一般的な飲食店と比べ、厳格なルールで掲載情報に制限が課されている業種でもありますが、おおむねプロフィールなどの情報はオーナーが登録しなくてもGoogleが独自に情報を集めたり、一般利用者からの投稿などで勝手に情報が掲載されていくのは同様です。気が付いたらいつの間にかGoogleMAP上に自分たちの医院/クリニックがオーナー不在な状態で表示されていて、具体的にGBPの運用方法はわからなくても、オーナーとしてGBP上にある自分の店舗情報を管理できるように、アカウントを登録したい方も多いのではないでしょうか?

GBPに正しい情報を登録し、写真情報なども医院内の写真やサービス内容、料金表などオーナーから提供する事で、医院/クリニックを探している見込み患者に対して、第一印象を良く見せることができ、競合と比較されたときに魅力を感じてもらいやすくなります。

なお、GBPのクチコミ情報の管理、MEOといわれるマップ検索で上位表示されるための運用のポイントについては、以下の別記事で紹介していますので、是非、ご覧ください。

また、Googleのサービスである為、GBPにオーナーとして正しい情報を登録する事で、Google検索の結果のページや、GoogleMAP上に自分たちの医院/クリニックを見せたいように表示させる事ができるようになるので、商圏エリア内で検索している見込み患者へ、Web集患手段として活用する事は、非常に有効な手段と言えます。

Web集患における集患戦略は何から始めるべきか

では具体的に、医院/クリニックが新患の集患に成功する集患戦略を立てる際に何を考え何から始めるべきでしょうか? まずホームページを分かりやすく、魅力的に作る事、詳細な院長の経歴情報などを掲載する事といった事は今や大前提なので、本記事では割愛しますが、受け皿となるホームページが用意できたら、次に考慮しなければならない事は本記事で紹介してきた「Googleビジネスプロフィール(略称:GBP)」と「リスティング広告」の2つです。

令和時代のWeb集患の戦略を考える上で、「Googleビジネスプロフィールの運用」「ホームページへの導線拡充」の2軸の集患施策を中心に考えていく必要があります。

新患となる見込み患者からすると手のひらの上で、簡単に比較検討できる環境が整っているので、GBPのオーナー登録を行い、Google検索サイト上での検索結果や、GoogleMap上での検索に正しい情報を表示させることは想像以上に重要です。Googleビジネスプロフィール上に正しい情報の記載がない医院/クリニックは、もはや検討に値しないので存在しないのと同じと言っても過言ではない為です。

例えば、駅看板に医院/クリニックの看板があったかもしれないと覚えていたとしても、普段から看板よりもスマートフォンの画面を見ている事が多い中、詳細に駅構内看板の医院名/クリニック名や予約電話番号まで覚えている方はいないでしょう。それよりも、検索サイトやMapアプリ上で、「診療科名 駅名(イメージ例:歯科 東京駅)」などで検索したり、うろおぼえな医院名を入れてみたりして検索する所に自分たちの医院/クリニックを表示させる方が重要です。

なぜならば、看板に記載の正式名称を正確に入力して検索しても、検索結果やMap上の検索結果には、同業他社の競合医院/クリニックが必ず表示される為です。GBPに登録する事で、競合医院/クリニック名の検索であっても見込み患者の目に留まる機会を増加させる事ができ、さらに正しい情報や綺麗な施設写真を登録する事で第一印象を良くすることができ、予約率の向上に直結します。

2つ目はすでに触れてしまいましたが、少額でも良いので「リスティング広告」を活用する事です。駅構内などの看板広告に予算を使っているのであれば、リスティング広告にシフトさせましょう。

誰が見てくれているか分からない看板広告や、内容を覚えていない駅構内看板よりも、見込み患者自らが能動的に広告にアクセスしてくるリスティング広告の導線を活用する事の方が、広告効果も見える化でき、設置して終わりではなく運用改善もできる広告ですので新患獲得効果を伸ばす事も可能な為、非常に有用です。

リスティング広告を出稿して、今まさに医院/クリニックを探していて予約したがっている見込み患者の検索タイミングに対して、自分たちのホームページへ誘導する集患導線を確保しましょう。

近隣の見込み患者に対して、いかに早い段階で自分たちのホームページを見てもらえるかは予約に直結するWeb集患において重要な要素です。

想像してみてください。医院/クリニックを予約しようとしている見込み患者に早めに見てもらえる誘導導線を用意する事で、例えば、今、歯が痛く緊急性が高い患者であれば、見つかった近隣の歯科医院に今から診察してもらえるか相談の予約電話をする可能性が高い傾向があります。
時間的猶予がある見込み患者であっても、検索結果に表示された順番にホームページやクチコミ評価をみて、ここなら良さそうと判断できた医院/クリニックを予約連絡する候補としてピックアップし、2~3件比較検討した上で、その中で一番良さそうと思えた所に相談する予約連絡を入れる可能性があります。

このように、集患する商圏範囲内として【指定した市区町村のエリア内で検索している見込み患者】に広告を表示させられるリスティング広告を使い、魅力的な広告文で露出を増やし誘導する手法は、Web集患において非常に有効な広告手法と言えます。

Web集患に必要な広告予算と広告代理店のビジネスモデルと見極め方

Web集患に必要な広告予算は、内製で運用するのか、外注に運用委託するかで最低出稿額が変わってきます。また、どれくらいの見込み患者にアピールして予約を獲得したいのか、目標から逆算して設計する方法もあります。

自社運用の場合、上記で紹介したGBPは無料で活用できますし、リスティング広告は、自由に予算上限費用を設定できます。獲得効率や本当に広告が表示されるかどうかなどを横に置けば、極端な話、数千円のご予算でも設定した条件でリスティング広告のリンクが検索結果画面にでるように出稿設定を完了することは可能です。

リスティング広告は出稿自体は費用が発生せず無料でできます。実際に広告費用が発生するタイミングは、見込み患者が広告リンクをクリックして、ホームページに誘導した瞬間になります。広告を出稿したい期間において、設定したキーワード毎、設定したクリック単価分の料金が発生する体系となっているので、予算上限として設定した費用上限を超えて請求される事はなく、予算額に到達すれば自動的に広告出稿は停止しますので安心です。

自分たちで運用する場合、このように費用については自由度が高いので、用意できる予算の範囲でまずは自由に試してみる事も可能です。ただしどのサービスもルールが厳格に決められているので、レギュレーションに反する設定や表現を設定すると、最悪の場合アカウントの停止だけでなく、新たにアカウントから作り直しても掲載されない永久的な排除もありえますので適切に設定してください。

これからリスティング広告を始めたい方や、詳しく知りたい方向けに無料の解説資料(早わかり!ガイドブックシリーズ:リスティング広告とは?)を用意しております。初心者向けにわかりやすく解説しているので、ダウンロードフォームから無料でダウンロードしてお読みください。

なお、自身で広告を勉強し試してみる時間も余裕もなく、今すぐ集患したいご状況であれば、GoogkeやYahoo!の認定評価を取得している広告代理店の中で、医院/クリニックの広告運用経験が豊富な専門業者に任せる事をお勧め致します。

ただしGoogleビジネスプロフィールや、リスティング広告の運用をまとめてプロに外注したい場合、月額10万円未満では、大手~中堅の広告代理店は見向きもしてくれません。予算額にみあった規模の広告代理店を選ばないと痛い目にあいます。残念ながら広告代理店においては、むしろ大手代理店だからといって誰もが安心できるわけではないのです。

中小企業規模や個人経営の広告代理店であれば、話を聞いてくれる業者や、個人で請け負ってくれるプロが見つかればお願いする事も可能でしょう。ただし、満足いく結果や、運用相談、レポート報告をしっかりと貰えるかどうかは、見極めが必要となります。人が運用する限り、初回だけ連絡対応して、その後の少額案件のフォロー連絡は後回しにする代理店が多いのが業界慣習だからです。

この業界慣習の理由は広告代理店のビジネスモデルにあります。少額案件が後回しにされる4つの背景をご紹介しましょう。

  • 1:手数料構造
    まず背景にある原因は【手数料構造】にあります。
    業界のビジネスモデルを考えると、多くのインターネット広告の運用を代行してくれる業者の手数料は、広告費用の20%が業界標準です(例:広告費10万円ならば手数料2万円となり、合計12万円(税別)の費用が必要)。
    このビジネスモデルでは、運用額が少額になればなるほど、利益となる手数料の額面が低くなるため、手数料の費用よりも人の作業工数(広告運用やフォロー連絡、質問や要望の対応)に工数(時間)を割くと少額予算の案件はすぐに赤字になってしまう為、サポートに避ける時間的工数は限られます。

  • 2:予算額と作業工数は比例しない
    次に【予算額の大小によって、基本的な作業工数は変わらない】という現実があります。10万円の案件でも100万円の案件でも、広告運用状況を確認したり、設定変更する手順や作業量は同じな為、より予算額の大きな案件の方が作業効率的にも利益率的にも高くなります。

  • 3:ひとりの従業員が対応できる作業キャパシティと利益率
    多くの代理店が運用を【人の手作業】で対応している為と言えます。広告媒体側も複雑な設定をAIによる機械学習を使って自動化に取り組んではいるものの、それらの各広告媒体を設定する作業や日々の見直しによる変更作業を人が行う限り、一人の従業員が抱えられる作業量の上限(抱えられる企業数)が存在します。
    会社が利益を追求すると、契約案件数が運用できるキャパシティに対して一定の数に達すると、より高額の予算案件のフォローを重要視して、少額案件は後回し(最悪、広告費の増額が見込めなければ解約の方針を告げる)になる傾向があり、こういった形が広告代理店の業界において、一般的なビジネスモデルの構造事情である為です。

  • 4:代理店としての運用総額の拡大を求められるインセンティブ制度
    これは全ての広告代理店に言える事ではありませんが、多くの大手代理店に言える事として、広告媒体から提示されるインセンティブの達成や、認定区分の維持の為の広告取扱総額の達成などに日々、追われています。広告媒体からインセンティブが提示される場合、運用総額が目標額に到達する事で利益が得られる為、広告予算の増額が見込める顧客や新規顧客にリソースを割く傾向があり、隠し切れない形で如実に出てきます。
    また、広告代理店の認定バッチなどにみられる星の数なども実は広告費の取扱総額に比例する為、仮に代理店として運用成績が非常に高く優秀であっても、ミシュランの三ツ星のように星の数が多く貰えるわけではない事も事実です。代理店としては認定区分を維持する事で支援メリットが得られるので一定の金額を運用し続ける必要があり、その兼ね合いで少額予算案件で伸びしろがない案件はフォローの優先順位が低くなる傾向が出てきます。

以上のような背景がある為、業者選定をする際に、手数料利率が異様に低かったり、手数料が低価格の定額でサービス提供していたり、本来の手数料から利率を大幅に値引きするといった営業提案を貰う場合は、単純に手数料が下がった事を喜ぶのではなく、

  • その手数料でも本来と同じように、しっかりと運用メンテナンスを行えるのか?
  • レポート報告が可能なのか?報告頻度や解説、アドバイスの有無、相談体制は?
  • 運用品質が低下しないのか?

など、発注前に確認していただく事をお勧め致します。

代理店が手数料を下げて運用受注する場合、その裏側にあることを医療に例えると、診察/治療頻度の低下や、手術経験の浅い新人に手術を任せるようなものとなりがちなので、ご注意ください。

なお、的確な広告運用のプロに集患相談を行うと、どれくらいの集患目標数値を定めるのか、どのような状況の患者を獲得したいのか、商圏エリアはどれくらいの範囲なのか、医院/クリニックの特徴として競合と比べた時に評価される強みは何があるか等、細かくヒアリングされると思います。

そして、ヒアリング結果に基づいて、広告運用戦略をプロの目線から、商圏内の競合調査や、見込み患者の検索傾向、キーワードの獲得相場などを算出した上で適切なスタート予算と提案根拠を提示してくれるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。本ページでは、令和時代において大きく変わった集患の背景や、見込み患者はどこで見つかるのか、予約に誘導する為にはどのような手法を活用してWeb集患を実現していけばよいのか、自分たちでやれることから、プロに任せる場合の注意点など、医院/クリニックの対応が急務となっているWeb集患について解説させていただきました。

ちなみに、当社では本ページで解説したWeb集患における戦略や注意点などを全て任せて安心でき、解決できる広告運用代行サービスをご提供しています。

これからWeb集患を始める事を検討されている方や、少額予算で試してみたい方向けの集患プランもご提案します。広告運用代行サービスやGBPマネジメントサービスは、中小零細企業様でも導入しやすい価格帯で提供しており、ご好評いただいています。

また、地域密着型の医院/クリニック様の集患を支援しており、例えば歯科においては300医院/クリニックの運用事例があるなど、ノウハウも日本全国各地において実績がございます。

現時点で実際にリスティング広告などをやると決定していなくても、具体的にWeb集患に取り組みたい場合は、是非当社の広告運用代行サービスである「ローカルフォリオ」の運用プランや実績、集患事例インタビューをご確認いただき、ご不明点を当社までお気軽にご相談下さい。

また、無料の参考資料も取り揃えておりますのでまずは自分自身でやってみたい方も、Googel広告やYahpoo!広告の始め方のマニュアルなど、無料ダウンロードいただけますので、こちらからご確認いただければ幸いです。

良いリスティング広告代理店の選び方を解説